生命医科学部

医生命システム学科/大学院 医生命システム専攻

DEPARTMENT OF MEDICAL LIFE SYSTEMS / GRADUATE
SCHOOL, MAJOR OF MEDICAL LIFE SYSTEMS

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同志社大学生命医科学部 宮坂 知宏 准教授研究グループ論文発表 〜組織中の微小管安定性を調べる手法を開発〜

同志社大学生命医科学部 宮坂 知宏 准教授研究グループ論文発表 〜組織中の微小管安定性を調べる手法を開発〜
微小管は、真核生物における主要な細胞骨格の一つです。細胞の形態維持や変化、細胞分裂、細胞内物質輸送、鞭毛や繊毛の運動等の多様な細胞機能に重要な役割を果たしていると考えられています。微小管は、α/β-チューブリン二量体を基本構成単位として形成される円筒状線維構造をしています。このチューブリン二量体が重合/解重合を繰り返すことで、動的不安定性を示します。微小管の安定性は、さまざまな細胞機能を維持するために正確に制御されていますが、生体組織においてその状態を評価することは困難でした。

このたび、同志社大学大学院生命医科学研究科の大学院生 萩田彩香 さんと 宮坂知宏 准教授らは、生体組織における微小管の安定性を評価する「in vivo 微小管分画法」を確立しました。萩田さんらは、まずマウス組織における微小管の安定性を維持しながら、2段階の超遠心分離を行うことで、3つの画分に分けました。各画分にはそれぞれ、安定型微小管、動的微小管、および可溶性チューブリン二量体が分画されていることが明らかとなりました。次に、この in vivo 微小管分画法を用いて、いくつかの微小管結合タンパク質(MAPs)の微小管に対する結合性を調べました。その結果、MAPs の種類によって、安定型微小管への結合を好むものと動的微小管への結合を好むものとがあることが分かりました。また、脳内の微小管は肝臓や胸腺よりも安定型微小管の割合が大きいことが分かりました。これは構成細胞の増殖能に応じて、微小管の安定性が異なるためだと考えられます。これらの発見は、in vivo 微小管分画法が、生理学的および病理学的状態における微小管の安定性の分析に有用であることを示しています。微小管安定性の制御は、がんの治療やアルツハイマー病の発症メカニズムにも関係すると考えられています。今後は、がんやアルツハイマー病といった疾患研究および治療法開発への応用が期待されます。
本研究成果は、専門雑誌「Biochemical and Biophysical Research Communications」に2021年6月30日に発表されます。
なお、電子版には 2021年5月13日に公開されております。

※研究内容の詳細は、生命医科学部HP(以下URL)の別紙をご覧ください。
https://biomedical.doshisha.ac.jp/news/2021/0526/news-detail-201.html