生命医科学研究科医生命システム専攻システム生命科学研究室の千葉廉さん、浦野泰臣准教授、野口範子教授らの研究成果が2022年11月付「Steroids」に掲載されました。
アルツハイマー病やパーキンソン病患者の脳では、脳特異的オキシステロール(酸化されたコレステロール)である24S-hydroxycholesterol(24S-OHC)が増加することが知られ、神経変性疾患発症への関連が示唆されています。これまで本研究グループは24S-OHCが誘導する神経細胞細胞死は、ビタミンE同族体のうちトコフェロール体で抑制されるがトコトリエノール体は抑制されないことを示してきましたが、その詳細な機構は明らかにされていませんでした。
本研究では、24S-OHC誘導性細胞死の初期に起こる小胞体の膜構造の破綻がトコフェロールのみで抑制されることを示し、その下流で起こる相分離によるストレス顆粒の形成や新生タンパク質の翻訳抑制も減少することも明らかにしました。本成果は抗酸化剤としての機能が知られるビタミンEが抗酸化能以外の効果で細胞死を抑制することを明らかにし、トコフェロール体の新たな機能を示したものです。
本成果は、科研費基盤C(16K08254、19K07093:浦野泰臣)の支援により得られたものです。
研究内容の詳細は、以下の関連情報をご覧ください。
関連情報:
URL:https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0039128X22001751?via%3Dihub
DOI: 10.1016/j.steroids.2022.109136
著者:Ren Chiba, Yasuomi Urano, Noriko Noguchi
タイトル: a-Tocopherol suppresses 24(S)-hydroxycholesterol-induced cell death via inhibition of endoplasmic reticulum membrane disruption
雑誌: Steroids, (2022), 189:109136.