生命医科学部

医生命システム学科/大学院 医生命システム専攻

DEPARTMENT OF MEDICAL LIFE SYSTEMS / GRADUATE
SCHOOL, MAJOR OF MEDICAL LIFE SYSTEMS

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生命医科学部 医生命システム学科の吉村陸矢さんらの研究成果が「Brain and Behavior」に3月6日付で掲載されました。

吉村陸矢さん(生命医科学部 医生命システム学科4回生)、宮坂知宏(生命医科学部 医生命システム学科 准教授)、舟本聡(生命医科学部 医生命システム学科 准教授)、池川雅哉(生命医科学部 医生命システム学科 教授)、角田伸人(生命医科学部 医生命システム学科 助教)と理化学研究所脳科学総合研究センターの共同研究成果が「Brain and Behavior」に掲載されました。

アルツハイマー病(Alzheimer’s disease; AD)患者の脳内では、アミロイドβタンパク質(Aβ)が蓄積し、老人斑という凝集物が形成されます。AD発症へ至る最初の脳内変化は、この「老人斑の形成」であると考えられていますが、老人斑が形成されるメカニズムは明らかではありません。理化学研究所脳科学総合研究センターの齋藤貴志(当時・副チームリーダー、現・名古屋市立大学大学院医学研究科脳神経科学研究所 教授)、西道隆臣(チームリーダー)らは、ヒトと同じAβを産生し、脳内で老人斑形成を再現するモデルマウスを作製しました。このモデルマウスは、世界中の多数の研究機関で使用されており、本研究でも使用させていただきました。

吉村さんらは、マウス脳内に形成された老人斑の形態を詳細に観察する方法を見直しました。老人斑の検出は、マウス脳の組織切片に対して免疫染色法を適用します。しかし検出に必要な前処理を行うと、老人斑の形態が崩れてしまい、解析が困難となることが課題でした。これまでマウス脳組織は、パラホルムアルデヒド(PFA)で固定してきましたが、本研究では固定方法を改変し、老人斑の形態崩壊の問題を解決しました。重要な点は、PFAより組織内への浸透が早いブアン液もしくはデービットソン液を用いたことで、老人斑を早く強固に固定でき、前処理を施しても老人斑の形態を保持できました。この結果、このモデルマウス脳で老人斑を形成するAβ38とAβ42の詳細な存在形態を明らかにしました。本研究成果は、老人斑形成メカニズムの解明につながる可能性が期待されます。

本研究の一部は、公益財団法人武田科学振興財団の研究助成(角田伸人)の支援を受けて実施致しました。

研究内容の詳細は、以下の関連情報をご覧ください。

・タイトル

The senile plaque: morphological differences in APP knock-in mice brains by fixatives

・著者

Rikuya Yoshimura, Tomohiro Miyasaka, Satoru Funamoto, Takashi Saito, Takaomi C. Saido, Masaya Ikegawa, Nobuto Kakuda

・雑誌

Brain and Behavior

・関連情報

DOI: https://doi.org/10.1002/brb3.2953