システム生命科学研究室の浦野泰臣准教授、野口範子教授、Diep-Khanh Ho Vo博士らの研究成果が「Cell Death Discovery」に掲載されました。
アルツハイマー病やパーキンソン病患者の脳では、脳特異的オキシステロール(酸化されたコレステロール)である24S-hydroxycholesterol(24S-OHC)が増加することが知られ、神経変性疾患発症への関連が示唆されています。これまで浦野らは24S-OHCが神経細胞に特殊な形態の細胞死を誘導することを示してきましたが、その詳細な機構は明らかにされていませんでした。
本研究では、24S-OHC誘導性細胞死の初期に、acyl-CoA:cholesterol acyltransferase(ACAT)によりエステル化された24S-OHCが小胞体に蓄積し、小胞体ストレス応答(UPR)を活性化させ、regulated Ire1-dependent decay(RIDD)と呼ばれる現象が引き起こされることを見出しました。また小胞体の膜構造が破綻し、タンパク質の翻訳が抑制されることも明らかにし、これらの現象が複合的に起こることが、特殊な細胞死の引き金となっていることを明らかにしました。
本成果は、科研費基盤C(16K08254、19K07093:浦野泰臣、16K00882:野口範子)および私立大学戦略的研究基盤形成支援事業(細胞自在操作のための分子化学技術の開発拠点形成)の支援により得られたものです。
研究内容の詳細は、以下の関連情報をご覧ください。
関連情報:
URL: https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6611791/?report=classic
DOI: 10.1038/s41420-019-0192-4
著者:Urano Y, Vo DK, Araki H, Noguchi N.
タイトル: 24(S)-Hydroxycholesterol induces ER dysfunction-mediated unconventional cell death.
雑誌: Cell Death Discovery, (2019) 5: 113.