遺伝情報研究室が解明したがん遺伝子NRF3の研究成果が招待総説として発表されました
遺伝情報研究室(小林研)では、転写因子NRF3 (NFE2L3)による発がん機構について精力的に解析しています。NRF3はおよそ20年前に私が東北大学医学部(林 典夫教授)在籍中に世界に先駆けて発見したオリジナルな転写因子です (Kobayashi A. (1999) J Biol Chem)。私も研究に携わったNRF3ホモローグであるNRF2は酸化ストレス応答ないしガンのドライバー遺伝子として大変有名です。これまでNRF3の生理機能についてはまったく不明なままでしたが、この8年間に研究室メンバーが日夜頑張った結果、NRF3が新たながん遺伝子として機能することを解明し複数の原著論文として報告してきました。今回これら一連の研究成果を2報の総説(invited review)にまとめ、がん研究の専門誌Cancer ScienceとCancersに報告しました。
NRF3に関する研究は私達の研究室が正に“オンリーワン”として切り開いてきましたが、世界中の研究者もその重要性に気づきはじめ徐々に参画しはじめています。フロンティアにいる私達はさらにオリジナルな研究成果を発信することで本研究分野を牽引し、社会還元していきます。
Drs. Hanahan & Weinbergの”Hallmarks of the Cancer (がんの特徴)”
におけるNRF3の生理機能
総説の詳細は、以下の関連情報をご覧ください。
総説タイトル:New addiction to the NRF2‐related factor NRF3 in cancer cells: Ubiquitin‐independent proteolysis through the 20S proteasome.
著者:Akira Kobayashi, Tsuyoshi Waku
雑誌:Cancer Science 111, 6-14
オープンアクセス: https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/cas.14244
総説タイトル:Roles of NRF3 in the hallmarks of cancer: proteasomal inactivation of tumor suppressors.
著者:Akira Kobayashi
雑誌:Cancers 12, 2681
オープンアクセス:https://www.mdpi.com/2072-6694/12/9/2681#