システム生命科学研究室の三田雄一郎助教、野口範子教授、東北大学薬学部の斎藤芳郎教授らのグループの研究成果が「Nucleic Acids Research」に掲載されました。
肝臓から全身にセレンを運ぶセレノプロテインP(SeP)は、糖尿病患者で増加し、糖尿病を増悪させる因子です。そのため、SePの産生を減らすことは有望な治療標的と考えられています。SePの産生量を減少させるメカニズムを探索した結果、新規のnoncoding RNAであるccdc152が発見されました。ccdc152は、タンパク質に翻訳されることなく、RNAとして機能します。ccdc152は、SePの翻訳段階を特異的に阻害することができるため、long noncoding RNA inhibitor of SELENOP translation (L-IST)と名付けました。緑茶の多く含まれるEGCGがL-ISTを増加させることも明らかとなり、SeP高値の糖尿病患者に対する副作用の少ない新たな治療法の開発につながるることが期待されます。
URL: https://academic.oup.com/nar/article/49/12/6893/6298612
DOI: 10.1093/nar/gkab498
著者:Yuichiro Mita, Risa Uchida, Sayuri Yasuhara, Kohei Kishi, Takayuki Hoshi, Yoshitaka Matsuo, Tadashi Yokooji, Yoshino Shirakawa, Takashi Toyama, Yasuomi Urano, Toshifumi Inada, Noriko Noguchi, Yoshiro Saito.
タイトル: Identification of a novel endogenous long non-coding RNA that inhibits selenoprotein P translation.
雑誌: Nucleic Acids Research. (2021) 49(12) 6893–6907